『現代訳 旅行用心集』八隅蘆菴(著)/桜井正信(監訳)

おそらく江戸時代の旅行者たちのバイブルだったと思われます。

現代訳 旅行用心集現代訳 旅行用心集
(2009/09)
八隅 蘆菴

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本屋で偶然出会った一冊。その名の通り、江戸時代の旅行ガイドの現代語訳です。
私はめったに旅行をしないのでガイドブックの類を読むことも殆どないのですが、ふとこの本に興味を惹かれ…実際に読んでみると読み物としても面白かったです。
この本が出版された江戸末期は、旅行というものが大衆化した頃だそうで、庶民もお伊勢参りなんかを楽しんでいたみたい。今とは違い、時間もかかれば命の危険も伴うものなので、多くの人にとっては一生に一度の一大イベントだったのではないかと想像します。

本の内容はというと、旅をする際に気を付けるべきポイントやアドバイスが箇条書きで示してあります。また、関所の一覧や諸国の温泉の効能を紹介した頁などもあり、かなり実用的。
荷物はなるべく少なくしなさいだとか、前日に出立の準備をしてから寝なさいというような、時代背景が異なっても普遍なアドバイスもあれば、馬や籠についての記述などはこの時代ならではですね。女性が世慣れしていない様子も伝わってきます。
また、そんなことまで?というような事細かい注意事項は、言い回しのせいもあるのでしょうが、どことなく可笑しくて。

一 とりわけ疲れたときには、熱い風呂にいつもより長く入れば、疲れはとれる。ただし入浴中に顔を何度も洗ってはいけない。顔を何度も洗うとのぼせてしまう。

一 旅の連れはせいぜい五、六人程度までがよい。大勢で行くのはよくない。人はそれぞれ考えることが違うから、大勢で長旅をすると、きっとうまくいかない者が出てくるものだ。


諸注意というよりも”旅行あるある”だよなぁと(笑)。
大酒を飲むことについての注意がやたらと多いのも気になるところです。昔の人はお酒の失敗でどれだけ命を落としていたんだか。
船酔いについての項になると急に迷信じみた記述が並んだり、お守りにすると良いという”白澤の図”もかなりのインパクトで笑ってしまいました。

これまた偶然なのですが、ちょうどこの本を読んでいるとき、旅行会社で少しだけ働くことになりました。
昔に比べてはるかに気軽に旅が出来るようになったとはいえ、飛行機や車、ホテルの手配、食事や観光場所の選定など、準備はやはり大変です。それも予定通りに進めばいいけれど、イレギュラーな事態はどうしても発生するものですしね。
色々な国の方を見ましたが、私の印象では予定が狂ってイライラしているのは大抵日本人でした(^^;
この本でも、思い通りにならないことがあっても我慢しなさい、というようなことが書かれてありました。私もイライラしがちな性格なので、今度旅行する際には心に留めておきたいです。

Tag 実用
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『ソウルケイジ』誉田哲也

ドラマでは今まさに最終回エピソードとして取り上げられている、姫川玲子シリーズ第二弾。

ソウルケイジ (光文社文庫)ソウルケイジ (光文社文庫)
(2009/10/08)
誉田 哲也

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多摩川土手に放置された車両から、血塗れの左手首が発見された!近くの工務店のガレージが血の海になっており、手首は工務店の主人のものと判明。死体なき殺人事件として捜査が開始された。遺体はどこに?なぜ手首だけが残されていたのか?姫川玲子ら捜査一課の刑事たちが捜査を進める中、驚くべき事実が次々と浮かび上がる―。シリーズ第二弾。(「BOOK」データベースより)


事件は前作『ストロベリーナイト』よりも凝った構成になっていて、面白かったです。
今回は玲子と同じ十係の主任でありながら犬猿の仲である日下がメイン。緻密かつ客観的な捜査をモットーとしている日下と、勘と直感で突っ走る玲子が対立する構図です。ただ実際は日下は玲子のことを買っているし、玲子が一方的に毛嫌いしているだけだったりするので、玲子の幼稚さが浮き彫りに。かつての暴行犯に似ているという、どうしようもない理由で嫌われている日下は可哀想すぎます…。
いちいち反抗的な態度を取る玲子に対し、日下は大人の対応。やるべき仕事をきっちりやっていて格好いいです。さらに玲子や菊田のことを心配して気に掛けたり、戸部の件を玲子に先をこされたときのちょっと間抜けな反応など、違う一面が見れたのもよかった。

玲子と菊田の関係はあいかわらず理解不能です。お互いに想い合ってはいるけどはっきり口にしてはいない状況と、二人の言動がどうも噛み合わないんですよね。私情を職場に持ち込みすぎているのもどうかと思うし。
姫川班の新メンバー・葉山がここで初登場。葉山パートは事件解決の大きな要となるのですが、葉山の過去のトラウマ話を入れた理由がよくわかりません。なんだか違和感を感じました。前作でも思ったのですが、場面によってコロコロと視点が変わりすぎですね。主観を入れるのは玲子と犯人ともう一人くらいに留めておいた方がいい気がします。

ドラマとの比較を少し。
わりとややこしい内容だからか3週にわたって描かれています。最終話がまだなのではっきりと結論は出せませんが、この話に関しては原作の方が良いかなぁと。(やっぱりどちらを先に読む・観るかによるのかしら…?)
ただし、原作では『ストロベリーナイト』の中にあった玲子と母親とのエピソードをドラマでここに持ってきたのは大正解。なんといっても親から子への愛情というのがテーマですからね。『ソウルケイジ』で語られる父親とのエピソードも良かったので是非入れて欲しいです。

ここからはネタバレ。

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『ストロベリーナイト』誉田哲也

姫川玲子シリーズ、第一弾。
ドラマを先に観ているので、どうしてもそちらとの比較が多くなってしまうのはご了承ください。

ストロベリーナイト (光文社文庫)ストロベリーナイト (光文社文庫)
(2008/09/09)
誉田 哲也

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溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された。警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。捜査で浮上した謎の言葉「ストロベリーナイト」が意味するものは?クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実だった。(「BOOK」データベースより)


今やっている連続ドラマではなく、その前のスペシャルドラマの原作ですね。
何度か出てくるグロテスクな描写は、かなりキツイです。普段は一字一句までしっかり読む方なんですが、犯人視点での詳細な描写は耐え切れず飛ばしてしまいました。

事件を捜査する過程で立ちふさがる敵は犯人だけではなく、共同捜査する他の刑事との攻防も見所のひとつ。そういう意味では警察小説としての面白さはよく出ていると思います。
ただ、主人公である玲子のキャラクターが、かなり微妙。捜査一課の女性警部補であるという矜持は、玲子が辛い過去を乗り越えるために必要だったもの。それはよくわかります。が、ちょっと驕りすぎです。勘が鋭く、自分がこれと睨んだものに突き進む姿勢は一見格好いいのですが、裏付け捜査がおざなりだったり、生理的に受け付けないという理由で先輩刑事に無礼な態度で接したり、社会人としてどうかと思う言動が多いので、それほど優秀な刑事とは思えないのです。あえて欠点の多い人間として描いているのかもしれませんが…。
それ以上に残念すぎたのが菊田。あまりの活躍しなさっぷりに愕然としました(笑)ライバルの井岡はなんだかんだで実は切れ者?というような片鱗を見せていたにかかわらず、菊田に関してはミスこそないものの活躍も皆無。恋愛下手でも仕事は出来るってところを見せて欲しかったなぁ。
ということで、このどうしようもない菊田を姫川班のエース&頼りになる先輩キャラに仕上げたドラマスタッフはGJ。もし原作のままだったら、連ドラまで観ようと思わなかったかも。西島秀俊さん演じるドラマの菊田、かなり素敵なんですもん。
ちなみに玲子は昔の松嶋菜々子さんがモデルだそうですが、竹内結子ちゃんで正解だと思います。(ビジュアルだけで松◯奈緒さんとかにならなくてよかった…)
ガンテツはドラマ版よりもはるかに人間味があり、かなりいい人に描かれていてビックリ。憎めないキャラなのはわかったけど、ガンテツパートは無駄に長かったです。姫川班の他の人たちなんか空気のような扱いだったのに(汗)
ガンテツに限らず、本筋と関係ないようなエピソードやセリフが多かった印象です。それが人物像を深めるというよりは、俗っぽさだけが際立っている気がして、好きになれませんでした。いずれにせよ、ストーリーやキャラクターの魅せ方としてはドラマの方の圧勝かなと思っています。

誉田哲也さんの本は何年か前に『武士道シックスティーン』を読んで以来。こちらも実写化されたりと人気ですよね。それなりに面白かった記憶はあるのですが、続編が出ても何故か読む気にはならず…この姫川シリーズもいまいち好きになりきれないというか。誉田さんの文章とはどうも相性がよくないみたいです。。
とはいえキャラクターに愛着も湧いてはいるので、もう少し追いかけてみようと思います。

Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:は行] | 2012.03.17(Sat) PageTop

『ウィンター・ホリデー』坂木司

待望の『ワーキング・ホリデー』続編!前作同様、笑って泣いて心があったかくなる1冊でした。

ウィンター・ホリデーウィンター・ホリデー
(2012/01)
坂木 司

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元ヤン元ホストで今は宅配便の配達員をやっている大和と、夏に出会ったばかりの息子・進の冬休み。
付き合い始めのカップルかとつっこみたくなるほどの(実際つっこんでるけど)初々しい二人です。夏の間に絆を深めたつもりでも、普段は別々に暮らす親子には、なにかと不安や焦りがつきまといます。夏休みという期間限定の色が濃かった前作と比べ、より自然な繋がりに移行しつつあるのが今作の見所。
仕事面では繁忙期のようで、ハチさん便での仕事も板についてきたとはいえ、冬を越すのは初めて。クリスマス、年越し、バレンタインとイベント絡みのトラブルが続出で、お仕事小説としても楽しめました。

ハチさん便やホスト時代の仲間たちは相変わらず濃くて楽しいです。そして大和の心の中のつっこみがおもしろい。
新入りの大東は最初こそイライラしましたが、最後の方ではなかなか気が利くようになってきました。(でも年末年始だけのバイトだった筈なんだけど??)
もう一人今回から登場して盛り上げてくれたのが、進の幼なじみコウタ。なんだろう…ものすごく残念な子なんだけど(笑)あいくるしいな〜ってグリグリしたくなる感じ。
そして前回ほとんど出番のなかった由希子は、人となりがだいぶ見えてきました。大和もそうだけど、よその子を呼び捨てしたりがつんと説教する大人ってなんか好きです。あと子供たちが「大和さん」て呼んでるのもちょっとツボなんですよね〜。

編集のチェックミスなのか、大東との出会いシーンで北海道を沖縄と書かれていたのには苦笑い。増刷分からは修正されるでしょうか。他にもいくつか気になる点があったんですが(年末の日数とか、位置関係とか)まぁいいか(^^;
最後、由希子とコウタがそのまま消えちゃったのもあれ?と思ったのですが、これはそういうものだったみたいですね。なんか違和感がありましたが。

だいぶ距離が近づいたとはいえ、まだまだ出来たての親子。再会した由希子とのその後も気になるし、続編また書いてほしいです。このまますんなりハッピーエンドとはいかなさそうですしね。進に運命預けるのもいいけど、そこに自分の意思があるってことはもう少し主張してほしかったな。
ただただ楽しいだけでなく、時々ピッと背筋を伸ばしたくなるジャスミンの一言があったり、それぞれの抱える苦い現実が垣間見えたり、というのもこのシリーズの魅力。
ということで、続編に期待!です。

Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:さ行] | 2012.02.24(Fri) PageTop

2012年冬ドラマ

最近あんまり本を読めていないので、困ったときのドラマ話。

ストロベリーナイト
今クール一番のお気に入り。以前のスペシャルドラマがなかなか面白かったので、連ドラになると聞いてずっと楽しみにしていました。
刑事ドラマなんだけど、事件そのものよりも警察内部での人間関係が面白いです。それぞれのキャラクターが濃いんですよね〜。生瀬さんの井岡なんてもうマンガ。でも大好き(笑) 几帳面男・日下(エンケンさんがハマリ役!)も出番は少ないけど気になってます。
そしてなんといっても菊田ですよ!西島秀俊さん最近いろいろ出てますけど、この菊田役はめちゃくちゃツボでした。竹内結子ちゃん演じる上司の姫川に気があるのに何も出来ない、不器用な体育会系。刑事としては優秀なのにライバル井岡とは子供みたいな喧嘩をしちゃう一面にもニヤニヤしてしまいます。
連ドラになってからはストーリーはいまいち…というか素人からみても穴だらけの捜査でつっこみたくなったりもしますが、これから面白くなっていくことを期待。あと既に撮影が終わっているドラマってどこか安心感があっていいですよね。

最後から二番目の恋
その次に楽しみにしているのがこれ。大人の恋愛ものって好きではないので、自分でも意外すぎてびっくりです。
いい年をした人たちが恋愛で右往左往するのってどうしても痛い部分があると思うんですが、そこをうまーく笑える方向に持っていってるのがいいです。主人公の千秋は45才。ドラマでリアルな45才を出されても引いちゃうし、かといって美容に金かけまくってますーな女優さんが出てきても現実感がなさすぎる。その点キョンキョンは自然な年の取り方をしているので、ぴったりだと思いました。
でもこのドラマのいい雰囲気を出しているのは間違いなく中井貴一さん。ユーモアセンスのある俳優さんだとは思っていたけど、あらためて上手いなぁと感じました。職場での扱われ方とか長倉家での会話を見ていると、どうみても格好悪くて空気を読めないおじさん…なのにどこか可愛らしさもあって。たまに真面目に語るシーンでは声が素敵だなぁなんて思いながら聞き入っちゃいます。
今知ったんですが、岡田恵和さんの脚本なんですね。そりゃ会話シーンが楽しいはずだ。

ラッキーセブン
さすが月9という豪華キャストです。この枠には基本興味ないんですが、エンタメ路線っぽかったので観てみました。
可もなく不可もなく、気楽に観るのにちょうどいい感じ。まぁ主役が松潤でなく主題歌が嵐でなかったらもっと良かった気がしなくもない…(歴とした嵐ファンですが、敢えて)。いまのところ主人公よりも新田が目立っちゃってますけど、今後活躍するようになるのかな?
探偵事務所には大泉洋と瑛太が…ここに松田龍平がいたらしっくりくるな(笑)

ハングリー!
なんとなく観てはいるけど全然面白くないんですよねぇ;
レストランで年輩の客にタメ口っていうのはなんとかならないものか…見ていて気分が悪いです。いけ好かない店にしないとか言う前に、少しは敬語使えるようにならないとね。大森美香さんの脚本けっこう好きなのに残念です。今後見続けるかどうかはゲスト俳優しだいかな…。
そして向井君と片桐はいりさんの2ショットを見ると、コーチとアスカさんだわ!と思ってしまう私。

最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜
葬儀屋の裏事情をあれこれ描く感じかと思ったら、ちょっと違うみたいです。いろいろ伏線が張られているのですが、特に続きが気になるわけでもなく山Pも苦手なので、そのうち観なくなりそう。
榮倉奈々ちゃんは刑事役。一つ前のドラマがとにかく気持ち悪かったので(ちらっとしか見てないけど)健康的な役でほっとしました。

ステップファザー・ステップ
原作が好きだったのでとりあえず初回だけ観てみました。
昔の作品だし、話数も少ないのでドラマ化は難しいんじゃないかなぁと思っていたら、やっぱりかなり変えてありましたね。だから嫌というわけでもないんですが、観続けるのがしんどそうなので早々にリタイア。
そういえば渡辺いっけいさん刑事役なんですね。ストロベリーナイトとの落差!(笑)

妄想捜査〜桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活
もっと面白いかと思ったんですけど、いまいちでした。
ゆる〜い感じとか妄想が激しいところは33分探偵に似てるかも?でもあんまり笑えないのが残念。まぁまだ始まったばかりなのでもう少し様子を見てみます。

白戸修の事件簿
こちらも妄想系の深夜ドラマ。主人公が探偵役で、助手として毎回ゲストが登場するらしいです。
いきなり前後編っていうのがなんだかなぁ。面白さがまだよくわからないので、ひとまず後編まで見てから判断したいです。

ナイトライダーNEXT
海外ドラマなのでちょっとくくりは違いますが、ちょうど1月から始まったので。
今の海外ドラマブームにはまったく乗れていない私ですが、子供の頃は大好きでよく観ていました。「奥様は魔女」「特攻野郎Aチーム」「冒険野郎マクガイバー」等々。そしてもちろん「ナイトライダー」も。テーマ曲を聴くだけでテンション上がります。
「ナイトライダー」の続編となるこのドラマ。十中八九がっかりするだろうなーと思いつつ観てみたら、意外と良かったです。なによりキットの声が当時と同じ!ゲスト出演したマイケルもそのままでした。
序章ではマイケルの息子マイクがKnight3000のドライバーになるまでが描かれたので、次回からが1話完結のお話になるのかな?以前のシリーズよりもシリアス寄りな感じですが、主演の2人の顔が好みなので、これはこれで好きになりそうです。

以上、ざっくり感想でした。こうして見ると私けっこう見てるなぁ。終わる頃にはたぶん半分くらいに減っていると思いますが…。
「家族八景」は録画し忘れて、2話から観るか悩み中。。「運命の人」や「恋愛ニート」は夫が録画しているので観れなくはないのですが、これ以上はしんどいなぁ。面白いって評判になってたら観てみるかもしれません。

Trackback [0] | Comment [0] | Category [テレビ] | 2012.01.29(Sun) PageTop


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