[Tag] 戦い

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『瞳の中の大河』沢村凛

内戦の終結に命をかけた男の半生を描いた、傑作大河小説。

瞳の中の大河瞳の中の大河
(2003/07)
沢村 凜

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この本は絶対に一気に読みたいと思って温めていたのに、結局あまり時間がとれず、1週間くらいかけて読むことに。
でもその間まったく集中力が途切れることはなく、最初のエピグラフから既にぎゅっと心を掴まれ、本を開くたびに物語の世界に引き込まれる感覚でした。
四部構成で数十年にわたる話なので、時間をかけて読んで却ってよかったかもしれません。読み終わった後は何歳か年をとった気がしたほどです(笑)
また、各部の一章が「髭」「皺」など漢字一文字で登場人物たちの様子を描写していくという一風変わった構成になっているのですが、これがいい具合に全体を引き締めていました。

あらすじはほぼ最初の一文に尽きるのですが、もう少しだけ詳しく。。
貴族が絶大な権力を持ち横暴の限りを尽くす国で、平民アマヨクが軍人として初任務に就くところから物語が始まります。悪政に苦しむ平民達は、貴族が実権を握る軍隊を当然良くは思っていません。裏では叛乱軍として革命を起こそうとしている野賊達に協力する者もいます。そんな中、アマヨクだけは軍や国を正義だと信じ、野賊を降伏させて平和を取り戻そうとするのです。

最初はただの世間知らずに見えたアマヨクですが(だってどう見ても国が正義だとは思えないもの)、読み進めるうちに彼の言わんとしているところがわかってきます。その信念を貫き通す強さには何度も感嘆しました。
ただ彼は英雄かもしれないけれど聖人君子ではないんですね。そのあたりの描き方が絶妙でした。他の登場人物も含め、どんな人間にも欠点があるということを強く意識して書かれているのだと思います。
そもそもアマヨクのような人物を主人公にもってくるというのがおもしろいです。普通だったらオーマあたりの叛乱軍側から描きそうなものですが。

登場人物たちの波瀾万丈の人生は、戦を終わらせることがいかに難しいかを物語っています。ここから『黄金の王 白銀の王』につながっていくんですね。
個人的には『黄金の王~』の方が好みでしたが、どちらもお勧めです!!

Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:さ行] | 2010.03.09(Tue) PageTop

『黄金の王 白銀の王』沢村凜

架空の国を舞台にした歴史小説。読みごたえのある良作でした。

黄金の王 白銀の王黄金の王 白銀の王
(2007/10)
沢村 凜

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一応ファンタジーに属するようなので、ちょっと苦手かも?と思ったのですが、魔法やモンスターが出てくるわけでもなく、すんなり読めました。登場人物の名前の読みが難しいので、そこは苦労しましたが。

王家の血を受け継ぐ鳳穐一族と旺廈一族が何十年も争いを続けてきた翠の国。鳳穐の頭領であり現在の王である櫓は、ある決断をします。本来なら抹殺すべき旺廈の頭領・薫衣とともに。
誰からも理解されない孤独な戦いを続ける二人の意思の強さがすごいです。本当に大事なことは何か、そのために何をすればいいかを知っていて、どんなに苦しくてもそれを実践していくのです。最初に第一歩を踏み出し、最後まで私利に走ることなく薫衣との約束を守った櫓も、ただひたすらに耐え忍ぶ道を選び、それでも誇りを失わなかった薫衣も、立派な頭領でした。

人々の考えを変えていくのは難しく、綺麗ごとばかりでは済みません。大きな戦はないまでも、何人もの人が殺されます。でも、最後は希望のもてる終わり方で安心しました。読後感は爽やかです。
特に良かったのが、薫衣と稲積。この夫婦の微笑ましいエピソードで何度救われたことか。

沢村凜さんの作品は初めてでした。『瞳の中の大河』も評判がいいようなので、読んでみたいです。

Trackback [1] | Comment [6] | Category [作家別:さ行] | 2009.10.07(Wed) PageTop

『図書館戦争』シリーズ 有川浩

キャラ読み上等!なラブコメエンターテインメント小説。




図書館戦争図書館内乱図書館危機図書館革命


シリーズ4部作を一気読みしたあげく、どれがどの巻だったかうろ覚えだったりするので(…)感想もまとめちゃいます。

これより前に読んだ『ラブコメ今昔』が私的にイマイチ盛り上がれず…いや、おもしろいし好きなんですけど、有川さんの”落ちる”ツボがわかっちゃったっていうか、短編集だけに「あ~またこのパターンか」というのがあって。
しばらく有川作品はやめとこうかな、と思った矢先に予約待ちしてた『図書館戦争』の順番が来ちゃったんですよね。
そういう意味で、けっこう冷静に読みはじめました。

まず、最初の頃の郁がほんと気に食わなくて。私も言葉遣い良い方ではないけど、人に向かって「チビ」とか、女性が「メシ」とか言うのはどうも受け付けませんでした。
しかも無鉄砲なくせに自信だけは人一倍、勝手に突っ走ったあげく周りに迷惑かける、ってかなり嫌いなタイプ。手塚と一緒にいらいらしていた記憶があります…。
でも、自分のミスはきちんと反省して努力する郁はやっぱりかわいいですね。言葉遣いも多少はマシになっていったし、最後の方は「成長したなぁ」と感無量です。有川さんの思惑通り??

一方、堂上の方も最初はあんまり興味がわかなかったんです。いまどき硬派なんて流行らないだろうと。(かといって小牧派なわけでもないんですが)
そしたら最後の最後で堂上教官、まさかのキャラ変え(笑)
硬派イメージは途中から薄れていってはいたけど、まさかあそこまで豹変するとは。。。あれで一気に好きになりました。
そういう意味では、登場人物それぞれの成長や変化を楽しめる作品ですね!あの手塚がかわいく見えてきたりするし(笑)

図書館戦争は色々とメディアミックス展開されているみたいですが、白泉社から出ている漫画はけっこうおもしろいです。
『別冊~』の感想はまた別途。

Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:あ行] | 2009.08.27(Thu) PageTop

『のぼうの城』和田竜

読もうと思ってた本が読む前に映画化されてしまうことが多い今日この頃。
これはなんとか間に合いました!(ていうか映画化の話すすんでる?)

のぼうの城のぼうの城
(2007/11/28)
和田 竜

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信長と秀吉と家康ってどの順番だっけ?そして何時代?というくらいの知能レベルの私なので、最初はちょっとしんどかったです。
でも登場人物たちのキャラクターを掴んだ後は、さくさくと読めました。

丹波・和泉・靱負の重臣トリオ、大好きです。
一番は丹波だけど、子沢山で恐妻家(笑)の和泉もいいし、靱負もかわいいし。

では主役の「のぼう様」はどうだったかというと、正直、私はあまり魅力を感じませんでした。
きっと期待しすぎたせいだと思います…。もっと豹変するんだと思っていたら、そうでもなく。
なにより最後の甲斐姫に関する決断が納得できませんでした。それを阻止するために戦ったんじゃないの?と。まぁこの時代ではそれが普通だったのかもしれないけど。。。

戦が始まってからは本当におもしろくて、一気読みでした。
皆に満遍なく見所があり、さすがエンタテインメント小説として評価されているだけあります。
最後は戦国時代の男同士、敵味方を越えて認めあうところなど、爽快でいいですよね。

和田竜さん、次の作品も楽しみです。書いてくれているといいな。

Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:わ行] | 2009.03.12(Thu) PageTop

『海の底』有川浩

お正月休みの最終日、現実逃避したくて読む本を探していたら、これがあったのを思い出して一気にテンションあがりました。

海の底海の底
(2005/06)
有川 浩

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怪獣(?)パニックものと聞いていたので、どんなものかと不安半分だったのですが、内(潜水艦に閉じ込められた子供達+若い士官)と外(謎の甲殻類と戦う男達)を交互に描いていて、見事にどちらもおもしろい!出発点こそSFでも、それを受けて繰り広げられるのはあくまで人間ドラマなのです。

生きるか死ぬかって時に、プライドだの建前だの派閥だの言っている場合か、と思ってしまいがちですが、実際は社会の中で生きている以上は簡単に捨てられるものではないのですよね。
逃げ込んだ潜水艦からいつ出られるかもわからない状況で子供達が抱えるのは、生死とは関係ない、でも切実な問題。警備の範囲を超えた活動を強いられ負傷者が増えていく一方の警察と、圧倒的な火器を持ちながらも法律に縛られて手を出せない自衛隊…国が自衛隊の出動を決断すればすぐに解決するのに、そうできないのは政治的な問題があるから。
死を実感している現場の人間からしてみれば、そんな場合じゃないだろうと言いたくなっても仕方がないと思うのですが、真剣に子供達の事情を案じてあげたり、そういう国の人間だと割り切って最善策を講じる姿が本当にかっこいいです。

有川作品ですから当然乙女の妄想を刺激するあまあまエピソードも。
私は後日譚を含む『クジラの彼』を先に読んでいたので、これがああなるのね~とにやにやしながら読んでしまいました。「はじめまして」って何のこと?と思っていたけど、やっと意味がつながりましたよ。やるなぁ望。
普段は異端児でも有事の際に動ける男って問答無用でかっこいいですよね。ちなみに私は冬原・夏木コンビよりも明石が好みです(笑)

そういえば、冬原と夏木はこの時22,23歳くらいのはずなんですが、それにしては大人ですよねぇ。何歳から入隊しているのかわかりませんが、見習いのわりに仕事が的確ですし。
あと、『クジラの彼』を読んでからこれを読むまでの間になぜか私の中で「冬原は寡黙で女慣れしていないタイプ」と誤解されていたんですが、読み返すと「人あたりが良くて世渡り上手」ってちゃんと書いてありました…。なんで勘違いしたんだろ。

『クジラの彼』の方も感想を追記したので、よろしければそちらも読んでみてくださいね。

Trackback [5] | Comment [6] | Category [作家別:あ行] | 2009.01.11(Sun) PageTop


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