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『ソウルケイジ』誉田哲也

ドラマでは今まさに最終回エピソードとして取り上げられている、姫川玲子シリーズ第二弾。

ソウルケイジ (光文社文庫)ソウルケイジ (光文社文庫)
(2009/10/08)
誉田 哲也

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多摩川土手に放置された車両から、血塗れの左手首が発見された!近くの工務店のガレージが血の海になっており、手首は工務店の主人のものと判明。死体なき殺人事件として捜査が開始された。遺体はどこに?なぜ手首だけが残されていたのか?姫川玲子ら捜査一課の刑事たちが捜査を進める中、驚くべき事実が次々と浮かび上がる―。シリーズ第二弾。(「BOOK」データベースより)


事件は前作『ストロベリーナイト』よりも凝った構成になっていて、面白かったです。
今回は玲子と同じ十係の主任でありながら犬猿の仲である日下がメイン。緻密かつ客観的な捜査をモットーとしている日下と、勘と直感で突っ走る玲子が対立する構図です。ただ実際は日下は玲子のことを買っているし、玲子が一方的に毛嫌いしているだけだったりするので、玲子の幼稚さが浮き彫りに。かつての暴行犯に似ているという、どうしようもない理由で嫌われている日下は可哀想すぎます…。
いちいち反抗的な態度を取る玲子に対し、日下は大人の対応。やるべき仕事をきっちりやっていて格好いいです。さらに玲子や菊田のことを心配して気に掛けたり、戸部の件を玲子に先をこされたときのちょっと間抜けな反応など、違う一面が見れたのもよかった。

玲子と菊田の関係はあいかわらず理解不能です。お互いに想い合ってはいるけどはっきり口にしてはいない状況と、二人の言動がどうも噛み合わないんですよね。私情を職場に持ち込みすぎているのもどうかと思うし。
姫川班の新メンバー・葉山がここで初登場。葉山パートは事件解決の大きな要となるのですが、葉山の過去のトラウマ話を入れた理由がよくわかりません。なんだか違和感を感じました。前作でも思ったのですが、場面によってコロコロと視点が変わりすぎですね。主観を入れるのは玲子と犯人ともう一人くらいに留めておいた方がいい気がします。

ドラマとの比較を少し。
わりとややこしい内容だからか3週にわたって描かれています。最終話がまだなのではっきりと結論は出せませんが、この話に関しては原作の方が良いかなぁと。(やっぱりどちらを先に読む・観るかによるのかしら…?)
ただし、原作では『ストロベリーナイト』の中にあった玲子と母親とのエピソードをドラマでここに持ってきたのは大正解。なんといっても親から子への愛情というのがテーマですからね。『ソウルケイジ』で語られる父親とのエピソードも良かったので是非入れて欲しいです。

ここからはネタバレ。

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Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:は行] | 2012.03.17(Sat) PageTop

『ストロベリーナイト』誉田哲也

姫川玲子シリーズ、第一弾。
ドラマを先に観ているので、どうしてもそちらとの比較が多くなってしまうのはご了承ください。

ストロベリーナイト (光文社文庫)ストロベリーナイト (光文社文庫)
(2008/09/09)
誉田 哲也

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溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された。警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。捜査で浮上した謎の言葉「ストロベリーナイト」が意味するものは?クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実だった。(「BOOK」データベースより)


今やっている連続ドラマではなく、その前のスペシャルドラマの原作ですね。
何度か出てくるグロテスクな描写は、かなりキツイです。普段は一字一句までしっかり読む方なんですが、犯人視点での詳細な描写は耐え切れず飛ばしてしまいました。

事件を捜査する過程で立ちふさがる敵は犯人だけではなく、共同捜査する他の刑事との攻防も見所のひとつ。そういう意味では警察小説としての面白さはよく出ていると思います。
ただ、主人公である玲子のキャラクターが、かなり微妙。捜査一課の女性警部補であるという矜持は、玲子が辛い過去を乗り越えるために必要だったもの。それはよくわかります。が、ちょっと驕りすぎです。勘が鋭く、自分がこれと睨んだものに突き進む姿勢は一見格好いいのですが、裏付け捜査がおざなりだったり、生理的に受け付けないという理由で先輩刑事に無礼な態度で接したり、社会人としてどうかと思う言動が多いので、それほど優秀な刑事とは思えないのです。あえて欠点の多い人間として描いているのかもしれませんが…。
それ以上に残念すぎたのが菊田。あまりの活躍しなさっぷりに愕然としました(笑)ライバルの井岡はなんだかんだで実は切れ者?というような片鱗を見せていたにかかわらず、菊田に関してはミスこそないものの活躍も皆無。恋愛下手でも仕事は出来るってところを見せて欲しかったなぁ。
ということで、このどうしようもない菊田を姫川班のエース&頼りになる先輩キャラに仕上げたドラマスタッフはGJ。もし原作のままだったら、連ドラまで観ようと思わなかったかも。西島秀俊さん演じるドラマの菊田、かなり素敵なんですもん。
ちなみに玲子は昔の松嶋菜々子さんがモデルだそうですが、竹内結子ちゃんで正解だと思います。(ビジュアルだけで松◯奈緒さんとかにならなくてよかった…)
ガンテツはドラマ版よりもはるかに人間味があり、かなりいい人に描かれていてビックリ。憎めないキャラなのはわかったけど、ガンテツパートは無駄に長かったです。姫川班の他の人たちなんか空気のような扱いだったのに(汗)
ガンテツに限らず、本筋と関係ないようなエピソードやセリフが多かった印象です。それが人物像を深めるというよりは、俗っぽさだけが際立っている気がして、好きになれませんでした。いずれにせよ、ストーリーやキャラクターの魅せ方としてはドラマの方の圧勝かなと思っています。

誉田哲也さんの本は何年か前に『武士道シックスティーン』を読んで以来。こちらも実写化されたりと人気ですよね。それなりに面白かった記憶はあるのですが、続編が出ても何故か読む気にはならず…この姫川シリーズもいまいち好きになりきれないというか。誉田さんの文章とはどうも相性がよくないみたいです。。
とはいえキャラクターに愛着も湧いてはいるので、もう少し追いかけてみようと思います。

Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:は行] | 2012.03.17(Sat) PageTop

『空想オルガン』初野晴

吹奏楽部の活動もいよいよ佳境に入ってきたハルチカシリーズ第3弾。

空想オルガン空想オルガン
(2010/09/01)
初野 晴

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今回もステキな表紙。(でもなんで横向きにしなかったんだろう?個性的でよかったのに。)
来年の普門館出場を夢みながら、まずは小編成のB部門での予選突破を目指す、チカたち吹奏楽部。本番前の緊張と不安の中で、4つの謎を解き明かします。

やっとシリーズ名がついたのにもかかわらず、看板しょってるハルタの影が薄すぎませんかね…;反対に、初登場の姉はやりすぎなくらいに濃いキャラ。うーん、苦手かも。
チカはあいかわらずおもしろいです。でも笑い所は1、2作目に比べて少なかったなぁ。次はどんなヘンな人たちが出てくるのか期待していただけに残念でした。

ストーリーの方は、夏休みで大会の準備中のため、すべて学外での話。それぞれいい話ではあるのだけど、メインキャラが絡む謎ではないためか背景描写が足りず、せっかくの感動も胸に迫るところまではいきませんでした。
中でも表題作の「空想オルガン」は疑問だらけ。”オルガン”の洒落はわかったけど、結局何のためのイベントなの?一緒にイベントを始めた人との関係は??なんだかモヤモヤが残ります。あえて細かくは描かないようにしているのかな…?知りたがる私が野暮なのでしょうか。
吹奏楽部が本番でどんな演奏をしたのか、はそれこそ”あえて”描いていないのでしょうねぇ。あぁ~もどかしい(笑)
芹澤さんとチカの関係はすごくいいですね。いよいよ仲間に入ってくれそうな感じですし、次作に期待したいと思います。

そういえば、少し前にたまたまテレビで普門館を目指す吹奏楽部のドキュメントをやっていて、見入ってしまいました。こういう何かに打ち込む学生生活って一生の思い出になりますよね。何もしてこなかった自分に少し後悔。。

Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:は行] | 2010.10.20(Wed) PageTop

『にょっ記』穂村弘

日記の形式で綴られる癒し系エッセイ。独特のゆる~い空気がくせになります。

にょっ記にょっ記
(2006/03)
穂村 弘

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たまに雑誌で読んでいたエッセイなんですが、もう2冊も本になっていたとは。1冊目が『にょっ記』で2冊目が『にょにょっ記』ってかわいすぎる(笑)
日によって長かったり短かったり、実際にあった出来事だったり妄想だったり。えろ親父くさいのがたまに傷だけど、おもしろいです。「女性百科宝鑑」は特に笑えました。
それにしても天使って??

Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:は行] | 2010.08.30(Mon) PageTop

『WILL』本多孝好

葬儀屋の仕事は、死者を眠らせること。

WILLWILL
(2009/10/05)
本多 孝好

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『MOMENT』の続編、7年後の話です。森野の話ということで、タイトルのwillは遺言のことかな、と思ったのですが、少し違いました。もちろんそういう意味も含めているのでしょうけれども。ダブルミーニング、トリプルミーニングないいタイトルです。
前作同様、ミステリ要素のある連作短編となっていますが、最初の話の後日譚をリプライズとして最後に再登場させ、さらに一転させるなど、より凝った作りになっていて楽しめました。

森野は前作に出てきた時は、自分のことも周りのこともよくわかっている大人な印象を受けたのですが、実際のところはそう割り切れてもいなかったよう。葬儀店の社長としていくつもの死に向き合いながらも、11年前の両親の死をいまだ消化しきれておらず、今の自分に折り合いをつけられないでいるのでした。
そんな彼女の元に、様々なトラブルが持ち込まれます。葬儀が終わった後であっても、仏様のためなら労を惜しまない森野。その際に口にするのが先述のセリフなのです。かっこいいですよね。

相変わらずぶっきらぼうで素直じゃない森野がかわいいです。一方の神田君は、のんびりしててちょっと間抜けなところは変わってないけど、格段にいい男になってます。エピローグの二人が微笑ましい。ベタだけどよかった~。
脇役では、古株社員の竹井さんや新入社員の桑田がいい味をだしていました。葬儀屋の話なので終始明るくというわけにはいきませんが、時々くすっと笑えるやり取りがあったりして、このユーモア感覚好きですね。悪ガキをやっつけるエピソードはちょっとはっちゃけすぎでしたけど(^^;

『MOMENT』は死にゆく人の願いを叶える話、『WILL』は死んでしまった人の思いを受け止める話。これで終わってもいいような気もするけど、できればもう1作書いて三部作にしてほしいところです。
今作で森野の内面はよくわかったけれど、神田に関してはまだまだ謎が多いというか。アメリカに行った理由も、わかったようなわからないような感じですし、神田視点だった『MOMENT』でさえ彼自身についてはほとんど描かれていなかったように思うので。
今の神田と森野に辿り着くまでの話を、神田視点で是非読んでみたいです。

余談ですが、本多さんて金城一紀さんとは大学の同窓生なんですね。作家になったきっかけも金城さんだとか。
作家さんたちの交遊関係を知ってにやにやしてしまうオタクな私です(笑)

※8/27追記
本の感想を検索していたら、こちらのページを発見しました。
『MOMENT』文庫版刊行時の特設ページのようですが、ここで『もう一つの「MOMENT」』という書き下ろし小説が読めます。『WILL』で出てきたあのシーンはここで既に書かれていたのですね。

Trackback [1] | Comment [0] | Category [作家別:は行] | 2010.08.26(Thu) PageTop


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