[Archive] 2011年05月

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『おしまいのデート』瀬尾まいこ

”最後の”デート、ではなく”おしまいの”デートって言い回しが瀬尾さんらしくていいのです。

おしまいのデートおしまいのデート
(2011/01/26)
瀬尾 まいこ

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一風変わったデートにまつわる短篇集。組み合わせも男女に限らずいろいろです。

「おしまいのデート」
思春期真っ只中な女の子とおじいちゃんのデート。
このおじいちゃん、ちょっととぼけているのですが、名言率高し。演歌とビートルズの組み合わせは『天国はまだ遠く』を思い出しました。

「ランクアップ丼」
昔やんちゃした教え子と先生のデート。
三好くんなんていい子!学ランの下に赤いシャツ着てるのに横断歩道でおばあちゃんの荷物持ってあげるタイプですね(笑)
上じいと三好くんの方言での会話が心地いいです。この話が一番好きでした。

「ファーストラブ」
ほとんどしゃべったこともないクラスメイトの男の子同士のデート。
宝田のアプローチの仕方がどこかズレてておもしろいです。広田が誤解するのは当然でしょう(笑)なにか因縁があって誘ったのかなとか深読みしてしまったのですが、どうなんでしょう。

「ドッグシェア」
バツイチOLと大学生の一匹の犬を介したデート。
飼うわけではないのに餌はやるとか、どうも二人とも無責任な気がしてあまり楽しめない話でした。
久永さんの言動は同い年としてはちょっと複雑…。「まけてよ」とか平気で言えるには早い気がするのですが(^^;

「デートまでの道のり」
園児のお父さんとこっそり付き合っている保育士のお話。
妙に冷めた態度を取ったりするカンちゃん。小さい子供って、大人が考えている以上にいろいろ解ってたりするんでしょうね。
カンちゃんのお父さんのポジティブな性格、あこがれます。

どの話も前後背景が説明不足というか、どうとでも解釈できるように書かれています。でもそれが嫌な印象はなくて、特別なイベントとして取り上げているわけではなく、ごく自然な一場面を切り取ったという感じがしてよかったです。
余韻というよりは、この先のことが簡単に想像できるような終わり方。

いつにもまして装丁がかわいいです。カバーを外した中の絵もなかなかステキ。

Trackback [1] | Comment [0] | Category [作家別:さ行] | 2011.05.28(Sat) PageTop

『人形遣いの影盗み』三木笙子

あいかわらず気乗りしない和製ホームズとは裏腹に、周囲の期待は鰻登りのようです。

人形遣いの影盗み (ミステリ・フロンティア)人形遣いの影盗み (ミステリ・フロンティア)
(2011/02/11)
三木 笙子

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「人魚は空に還る」「世界記憶コンクール」に続く、帝都探偵絵図シリーズ第3弾。かなり人気が出てきているみたいで、図書館では予約待ちでした。
前作は番外編的なものが多かったのですが、ようやく主役コンビ復活です。

「びいどろ池の月」
明治は女性の学歴が重要視され始めた時代なのですね。
芸者をしながら私塾に通い、後輩たちの悩み相談を一手に引き受ける花竜がかっこいいです。両親のエピソードも素敵でした。
花竜には探偵の素質があることだし、是非また出てきてほしいです。
それにしても女性絡みは特に不器用っぽい高広にそんな芸当ができたとは意外だわ~。

「恐怖の下宿屋」
高広が住む下宿屋を舞台にした、箸休め的な一篇です。
桃介さんいいですねぇ。下宿屋の女将=世話好きおばさん、というのはよくある設定だけど、世話好きお兄さん、ですからね。誰もがVIP扱いする礼を平気でこき使うなんて。言われるがままに働く礼もかわいいです。
かなりコメディタッチな話なのに、なぜかじ~んとしちゃいました。今回この話が一番好きかも。

「永遠の休暇」
探偵助手として甲斐甲斐しく仕事を見つけてきた礼のおかげで(?)華族のお家騒動に首をつっこむことになった高広です。
若干とっちらかった印象は受けましたが、いい話でした。
好きなことをして暮らせる幸せをあらためて実感した二人なのでしょうね。

「妙なる調べ奏でよ」
いきなり佐野の登場でニヤっとしてしまいました。思ったほど活躍しなかったですけど(笑)
最後のセリフが礼という人間を象徴していますね。暖かく見守ってあげたいです。

「人形遣いの影盗み」
怪盗ロータスが満を持して再登場。…といっても前の事件はうろ覚えでしたが;
いろいろ詰め込みすぎて、脇役たちのフォローがおざなりになってしまったのが残念。派手な演出のわりにはあまり盛り上がらなかったかな。事件そのものよりも、基博やよし乃との会話を楽しんでました。
ほっとできるエピローグはよかったです。
そうそう、基博が礼のことを今業平殿と呼んでいて意味がわからなかったのですが、今業平とは「今の世の在原業平といえるような美男」のことだそうで。なるほどね。


何がなんでも高広をホームズにしたい礼の無邪気な言動がかわいすぎます。高広は高広で、礼の期待には迷惑そうな顔をしていますが、両親に溺愛されて照れてるのがかわいい。
それよりももう~二人がラブラブすぎて(笑)本当にBLじゃないんだよね??と確認したくなります。高広が礼をお姫様扱いするのはいつものことですが、ちょっとやりすぎの感が。あげくに礼は「僕の行動くらい逐一把握しろ」ってストーカー行為を強要してるし(笑)
それはそれとして、心がほっこりする読後感がこのシリーズの大きな魅力。次回作も楽しみです。


Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:ま行] | 2011.05.19(Thu) PageTop

『ジェネラル・ルージュの凱旋』海堂尊

俺を裁くことができるのは、俺の目の前に横たわる、患者という現実だけだ

ジェネラル・ルージュの凱旋ジェネラル・ルージュの凱旋
(2007/04/07)
海堂 尊

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『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』に続く、田口・白鳥シリーズ第3弾。

前作『ナイチンゲール~』と時を同じくして起こっていた、もう一つの事件。
不本意ながらリスクマネジメント委員会委員長を拝任した田口の元に、救命救急センター部長の速水が収賄しているという告発文が届きます。”ジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)”と称されICUに君臨するカリスマであり、旧友でもある速水を援護すべく、田口は東奔西走するのでした。

ジェネラルかっこいい!!その一言に尽きます。
普段の一見フザけたように見える言動と、救命救急のスペシャリストとしての一面と、どちらもかなり魅力的。そりゃモテるわ~。ギャップに弱い女子にはたまりません。各所で絶賛されているのも納得です。
私のお気に入りである田口も思った以上に活躍しますし、白鳥はあいかわらずですし(笑)楽しかったです。

それでストーリーが面白いかというと、そこまででもないのですが。良くも悪くも、速水や田口、白鳥というキャラクタの魅力で押し切っている感じです。
シリーズ開始当初は医療ミステリという位置付けでしたが、本作に関してはミステリ要素はほとんどありません。告発文を誰が送ったかなんて簡単に予想がつきますしね。医療の現状を描きたい作者が、エンタテインメント作品に仕上げるための一手段としてミステリを用いただけという気がするので、それは別に気になりませんでした。ここまでキャラが立っていれば、ミステリ要素がなくても十分楽しめます。
ただし、前作でこき下ろした欠点は、ほぼそのまま今作にも引き継がれています。やっぱりこの方の文章は合わないみたい…。続編やリンクする作品群も読んでいきたいのですが、どうも二の足を踏んでしまうのでした;

既に映画化・ドラマ化されてますね。速水役は、映画版が堺雅人、ドラマ版が西島秀俊か…。どちらもイメージ違うなぁ。
ドラマ版のタイトルは頭に『チーム・バチスタ2』ってついてるんですが…バチスタ全然関係ないし(^^; シリーズ物ってことを強調したかったんだろうけど、どう考えてもおかしいでしょ。速水が「チーム・ジェネラル」を作ったっていう設定は涙ぐましいけども(笑)

ここからちょっとネタバレです。

15年前の伝説、速水の行動は確かにめちゃくちゃかっこいいです。が、口紅に関してだけはちょっと…。
指揮官が青ざめていたら云々というのは理解できるけど、だからってねぇ。その話を聞いて「素敵ですね」ってなるのもわからない。私だったら引いちゃうかも。
そして当時も今も、いざ目の当たりにして誰も驚かないのが不思議でした(^^;

恋愛エピソードは本筋とはほとんど絡まないし、いらない気もしますね~。最後はまぁ良かったですけど。小夜の時と違って理解できる範囲だったので。完全に当て馬にされちゃった翔子には、佐藤よりも田口をお勧めしときたいです。
しかしこの病院、こんなに一度に人がいなくなって大丈夫なのか??(笑)

Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:か行] | 2011.05.18(Wed) PageTop

『折れた竜骨』米澤穂信

天然の要塞ともいえる小島で起きた殺人事件。暗殺騎士に操られているのは一体誰なのか!?

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)
(2010/11/27)
米澤 穂信

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12世紀末の欧州を舞台に展開するフーダニット(犯人探し)。特設ページに相関図、地図があります。
領主の娘アミーナは、父親を暗殺した犯人を探すため、別の理由から犯人を追っている騎士ファルクに協力を仰ぎます。アミーナ、ファルク、そしてファルクの弟子ニコラの3人で、少しずつ真相を明らかにしていきます。

おもしろかった~!本格推理小説を読み慣れていない私でも大丈夫でした。時代設定や架空の島を舞台にしていることもあって、「こんな建物、建築基準法でアウトだろ…」とか余計なことを考えずに済みます(笑)
魔術や呪いなどファンタジックな要素もあるのですが、推理はあくまでも論理的に行われます。人智を超えた力が出てきても可能性が無限に広がらないよう制約条件を提示するなど、綿密にプロットが練られているのはさすがです。(間違ってもこんなことにはならないのでご安心を…笑)

推理小説としてはもちろん、設定やキャラクタが魅力的なので、ファンタジー小説としても楽しめるところが良かったです。せつなく、ほろ苦い、けれども希望のあるラストは米澤さんの持ち味ですね。
『儚い羊たちの祝宴』といい、その才能にあらためて感服しました。こういう作り物めいた世界の方が、より本領を発揮するような気がします。


以下は、完全ネタバレ(犯人の名前も書いてます)のため、未読の方はご注意ください。


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Trackback [1] | Comment [2] | Category [作家別:や行] | 2011.05.12(Thu) PageTop

『港町純情オセロ』

劇団☆新感線プロデュース『港町純情オセロ』@赤坂ACTシアター

othello.jpg

久しぶりの観劇日記です。他にもいろいろ観に行ってはいたのですけどね;

《新感線×シェイクスピア》ということで、以前『メタルマクベス』を観に行ったとき原作ストーリーを全く知らなかったために話がほとんど理解できなかった反省を活かし、あらすじサイトなどで予習してから行きました。
設定を関西のヤクザ社会に置き換えてはいますが、話の流れはほぼ原作通りということもあり、今回はかなり理解しやすかったです。

最初の見所はやはり、橋本じゅん完・全・復・活!ですね。冒頭から入院&腰痛と自虐ネタ満載。おもしろかったけど、腰に負担がかかりそうなポーズをするたびに見ているこっちはハラハラしてしまいました(^^;
立ち回りは少なめで、シェイクスピア劇らしくセリフの掛け合いで進んでいきます。歌とダンスも少ないながらちゃんとありました。女性陣の歌うテーマソングがかっこよかった!
物語を引っ張っていく伊東役の田中哲司さんに依るところが大きいのかな…新感線の作品のどの系統にも属さないような、ちょっと不思議な雰囲気が漂っていました。
個人的には新感線っぽさをもっと抑えても良かったかなーと思います。いつもの効果音も若干浮いていたように思うし、組長がSM好きって設定が必要だったのかは???あまり笑いにつながっていなかったような…。あと、女性客が多かったせいか(?)オヤジくさい下ネタはわりとスルーされていたような気がします;

では、キャストごとの感想です。
今回は伊礼くんだったり大東くんだったり粟根さんだったり、あまりマークしていなかった人(失礼!)に意外ともってかれちゃいました。

藺牟田オセロ(橋本じゅん)
約1年ぶりのじゅんさん!この声が聞きたかったのよ~この動きが観たかったのよ~!!…それにしても、黒い(笑)
一幕では好きな人の前では恥ずかしいくらいにメロメロ~というお得意のキャラ、二幕では嫉妬に取り憑かれた愚かな男を熱演。どちらも良かったです。
欲を言えば1曲くらいは歌って欲しかったな。

モナ(石原さとみ)
オセロとのラブラブカップルぶりがもう~かわいかった!
無邪気すぎて鼻につくかと思えばそうでもなく、最初から最後まで純粋なモナでした。
ただ後半のモナの悲しさがいまいち伝わってこなかったのが惜しいところ。

伊東郷(田中哲司)
オセロ以上に出ずっぱりでセリフも多く、とにかく大変そうでした。
ドラマとかでよく見ていて好きな俳優さんなのですが、期待しすぎたせいなのか、なんだかちょっと物足りないな~と思ってしまいました。伊東は同じ二枚舌でも『朧の森~』のライとは違い、もっと泥臭くてツメが甘い感じ。哲司さんだとクールすぎるのかも。
立ち回りがなんかやり辛そうに見えるのは、背が高すぎるから??
笑わせようとするじゅんさんに必死で抵抗していたのがかわいかったです(笑)

汐見秀樹(伊礼彼方)
伊東を差し置いて出世した嫌な奴かと思ったら、意外とただのおバカさん…もとい優男だった汐見(笑)
歌も良かったし、イケメン設定なのにきっちり笑いをとっていくし、ものすごく新感線に合ってる気がします。また出て欲しいなぁ~。

沖元准(大東俊介)
実は私、大東くんが苦手だったんです。ジャンクスポーツくらいでしか見たことはなかったのですが…。
ところが蓋を開けてみたら、おネエキャラの准をイキイキと演じていて、かなり好印象でした。ただそのおネエ言葉のせいでせっかくの見せ場のセリフが聞き取りづらかったのがちょっと残念。
楽しんごネタやるかな~と思ったけど、なかったですね(^^;←新感線てなんかそれくらいの古くなりつつあるネタをやるイメージ…

伊東絵美(松本まりか)
まるで本当のお姉さんのようにモナを心配する姿が素敵でした。でも本当の弟のことはかなり放置でしたよね…。
大人っぽい役柄に比べて声がすごくかわいいかったです。もうちょい出番が多かったらよかったのにね。

三ノ宮亙(粟根まこと)
たかが出オチ、されど出オチ…毎回笑わせてもらいました(笑)

沖元准のポストは原作にはありませんが、イアゴーの妻エミリアが絵美と准の二人に割り振られている形です。というか大事な役割のほとんど准に行っちゃっているので、絵美の存在意義が薄くなってしまったのがとても残念。柳の歌は絵美が歌ってもよかったんじゃないかなと思いました。
あと、漁師役のサンボさん…なぜか私、死んだと勝手に思いこんでて、最後に出てきたとき一瞬「えぇ!?」ってなりました。すごくシリアスなシーンなのに(笑)


劇団☆新感線の次回公演は、7年ぶりの『髑髏城の七人』ですよ!楽しみすぎます。

Trackback [0] | Comment [0] | Category [舞台] | 2011.05.09(Mon) PageTop


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