[Archive] 2011年07月

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『13階段』高野和明

死刑囚の冤罪を晴らすという困難な依頼を受けたのは、元刑務官と前科持ちの青年。処刑までの時間はあと僅か、二人は真実に辿りつけるのか。

13階段 (講談社文庫)13階段 (講談社文庫)
(2004/08/10)
高野 和明

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評判通りの面白さ。久しぶりに先が読めないドキドキ感を味わいました。
タイトルの「13階段」が、処刑場の俗称というだけでなく、様々なところで印象的に使われているのが上手いですね。
これがデビュー作だそうですが、二転三転するストーリーといい、かなりの力作であることは確かです。

死刑囚が主人公なのかと思っていたら、違いました。
刑務官として犯罪者たちと向き合ってきた南郷と、殺人罪で服役したのち仮釈放された三上純一という、正反対とも言える立場の二人を中心に話が進んでいきます。
南郷と純一の、適度に距離を置いてお互いを尊重しあう関係が心地よかったです。

主な謎は4つ。1つめは、死刑囚・樹原は無実なのか。2つめは、冤罪だとすると真犯人は誰か。3つめは、樹原を救いたいという依頼人は誰か。4つめは、純一の過去の家出事件で何があったのか。
南郷たちは2つめの謎を解明すべく調査をするわけです。ちょっと冤罪だって決め付けるのが早過ぎるのでは?とは思いましたが、依頼の趣旨からして、そこがブレると何もできなくなるからかなと納得しました。
これ以上の感想は・・・どう書いてもネタバレになっちゃいそうなので、追記に。

映画は未見です。
私が読んだのは文庫本の方で、解説が宮部みゆきだったんですが、そこで「映画化された『13階段』を高野さんは気に入ってなかった」とかなんとかぶっちゃけちゃってるのが、いろんな意味でドキドキしました…。映画化で散々痛い目を見ているはずの宮部さんが書いてるっていうのがまた(苦笑)

決して明るい話ではないですが、ところどころでクスっと笑えるようなくだりがあったりして、重いながらも読みやすかったです。
特に南郷兄弟のエピソードはお気に入り。お兄さんの飄々とした態度とセリフはよかったなぁ。
全員にとって大団円というわけにはいきませんでしたが、そこもまた現実の厳しさを象徴していて、なかなかの終わり方だったと思います。

※ここから先はネタバレです。

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Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:た行] | 2011.07.29(Fri) PageTop

『スニーカーズ』

一癖も二癖もある男達と謎の”黒い箱”を巡るスパイ・サスペンス。

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(2005/03/25)
ロバート・レッドフォード、ダン・エイクロイド 他

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子供の頃から何度も見ている映画です。「好きな映画は?」と訊かれたら、これを答えることが多いかな。
決して大作映画というわけではなく、もっとジャンクな感じ・・・場合によってはB級映画に位置づけられていたりもして、世間の評価はよくわからないのですが、とにかく好きな要素がいっぱい詰まっていて、何度観ても楽しいです。
昔は時々テレビでやってたんですけど、二十代の人とかはもう知らないかもしれないですね…。

マーティンが率いるのは、警備の盲点を突いて侵入・ハッキングなどを行うプロ集団。といっても犯罪組織ではなく、あくまで企業に雇われて、警備システムを検証するのが仕事。ある日、マーティンが過去に犯した犯罪をネタに、あるものを盗みだすよう脅しをかけてくる人物が現れ・・・というストーリーです。
FBIとかCIAとかいろんな組織が出てくるので一見ややこしく思えますが、大丈夫です。私も各組織の役割とかいまいちわかってないけど、楽しめてます(笑)
同じくコンピュータやハイテク機器なんかも「なんかわからんけどそれっぽい」と思えればOK。サスペンスとして真面目に見たらつっこみ所は多いんだろうなーとは思うけど、あくまで娯楽映画ですから。

とにかくチームの面々が個性的でおもしろいんです。
頼りになるリーダーなのかと思いきや、どこか抜けてるマーティン。元CIAで真面目一辺倒、でも意外とちゃっかりしてるクリース。なんでもかんでも政府の陰謀にしちゃうマザー。点字でPLAY BOY読んじゃうホイッスラー。彼女がほしいお年頃なカール。
と、みごとに皆マイペースで、よくやっていけてるな…と思うんだけど、いざというときの連携プレーはお見事。
迷惑そうな顔しながらもきっちり仕事をこなしてくれるヒロイン(というにはいささかとうが立ってるけど)のリズはくるくる変わる表情がとってもチャーミングです。

基本はサスペンスだけど、要所要所に笑いが散りばめられてあって、そういうのも私好みです。ベタだな~と思いながらもついクスっと笑っちゃう。
最初の靴墨塗りたくるカールとか、電子ロックされたドアを開けるくだりとか、くっだらないんだけど好き(笑)
いい靴を履いたお客が来たときに「忙しくしろ」っていうところもお気に入りです。
クライマックスでホイッスラーが大活躍するシーンは、笑えるだけでなくちょっと感動したりもして。

キャストはなにげに豪華です。主役のマーティン役はロバート・レッドフォード。脇役もマザー役ダン・エイクロイドを筆頭に実力派揃いですし、今は亡きリバー・フェニックスまで。そういえば最初はリバー君目当てで観たんでした。ちょっとおバカさん(笑)なカールを好演してます。
この映画ってレッドフォード主演の『ホット・ロック』と比較されることが多いんですが、確かにテイストはよく似てます。そちらも面白いですよ。(実はレッドフォードってちょっと苦手なんですけどね…)

Trackback [0] | Comment [0] | Category [映画] | 2011.07.26(Tue) PageTop

『ローレンス・ブロック傑作集〈1〉おかしなことを聞くね』ローレンス・ブロック

ブラックだけどユーモアもたっぷり。

ローレンス・ブロック傑作集〈1〉おかしなことを聞くね (ハヤカワ・ミステリ文庫)ローレンス・ブロック傑作集〈1〉おかしなことを聞くね (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(1992/12)
ローレンス ブロック

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娯楽小説の名手ローレンス・ブロックの短篇集です。以前にご紹介した〈泥棒バーニイシリーズ〉の短編が収められていると聞いて、読んでみました。
全部で18編、掌編と言えるような短いものもあり、ちょっとした空き時間に読むのに丁度よかったです。
ミステリというにはやや中途半端なのですが、話がおもしろいのでサクサク読めます。ストーリーテラーとして評価が高いのも頷けますね。ほとんどが殺人事件絡みですし、ブラックテイストなものも多いので、人によって好き嫌いは分かれそうですが…。
私は「あいつが死んだら」「おかしなことを聞くね」あたりが面白いと思いました。

バーニイが登場するのは「夜の泥棒のように」です。
主人公はバーニイではなく、ゲスト出演(?)だったのですが、お馴染みのスマートな動作やユーモアに富んだ会話センスににんまりしてしまいました。女性に弱いのも相変わらず。器用なくせに肝心なところでポカをやるバーニイは本当に愛すべきキャラクターです。
その他にもブロック作品で最も有名な〈マット・スカダーシリーズ〉にあたる一編が収録されていました。こちらのシリーズは未読なので、スカダーの人物像がうまく掴みきれなかったのは残念。暗いだろうなぁと思ったらやっぱり暗かったってくらい(^^;

バーニイシリーズの短編は他にもいくつかあるそうなので、追いかけていきたいと思います。


Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:海外] | 2011.07.19(Tue) PageTop

2011年夏ドラマ

春ドラマは結局「BOSS 2」しか観ませんでした(しかもイマイチだった…)。
でも夏はもう少しいろいろ観てみようかなと思ってます。

「それでも、生きてゆく」
こういう重いドラマを観ることってほとんどないんですけど、なぜかこれは惹かれたんですよね。
テーマがテーマですし暗く重いのも仕方ない…と思いきや、意外とそうでもなく。洋貴と双葉のずれた会話とか、どこかユーモアのあるシーンがちょこちょこあって、このドラマの雰囲気、なんか好きです。
なにより俳優さんたちの演技を安心して見てられるのがいいですよね。
ただ一つ残念だったのは、セリフの中でドラマタイトルを言っちゃったこと。よくあるけど、なんか小っ恥ずかしい!

「勇者ヨシヒコと魔王の城」
すでにいろんな人に薦めまくってます。福田監督のゆるドラマ大好き!予算の少ない冒険活劇ってテーマがもう(笑)
ドラ◯エの世界をいかにお金をかけずに表現するか、スタッフの涙ぐましい努力が笑えます。馬…!(笑)そのくせ音楽だけ妙に豪華だったり。タイトルバックOPは格好良く、EDはほのぼのしていて、なんだかアニメっぽい。
ヒゲ剃った山田孝之くんて久々ですよね。山田くんとムロツヨシさん、佐藤二朗さんと言えば、映画『大洗にも星はふるなり』でお馴染みの3人。面白くないわけがありません。
今後のゲストで出てくる俳優はかなり豪華みたいですよ。また期間限定で初回のみ動画無料配信しているそうなので、見逃した方は是非。

「全開ガール」
もはや月9に期待する人はそういないと思いますし、私も観るつもりはなかったんですが、主役の二人がわりと好きなので、試しに初回だけ。
新垣結衣ちゃん、かわいいんですけどね~。なんか無理してる感が出ちゃってるのが残念です。まぁそれを言うなら薬師丸さんもかなり危なっかしかったですが。娘役の子の演技もあまり好きになれず。
あと、愛ちゃんが出てくるとね…萎えますよね。
あまり内容に興味もわかなかったんで、たぶん2回目以降は観ないです…。

「絶対零度~特殊犯罪潜入捜査~」
初回開始日だけ気にしていたら、うっかりスペシャルドラマ見逃しました;しかもあの人が殉職と聞いてびっくり。
さらに部署転換で前回とは全く違う仕事内容だし、シリーズ続編にする必要ある??桐谷健太くんが某番組で「(絶対零度って)タイトルは内容と全然関係ないです」って言い切ってましたよ(笑)
そのへんのもやもやを置いておけば、けっこう面白かったと思います。何人もがバトンタッチしながら尾行するとか、特殊アイテム使ったりとか、潜入捜査のアレコレが盛りだくさん。反動で2話以降がショボくならないことを祈るばかりです。
前作同様に桜木の成長を描いていくにしても、今回は本当に向いてない仕事みたいで先が思いやられますね(^^;

そのほか初回は見逃した「ドン・キホーテ」、異色の「荒川アンダー ザ ブリッジ」あたりは観てみたいなと思ってます。「チーム・バチスタ3~」ももう原作読むつもりはないから観てもいいかな。
あ、「ろくでなしBLUES」はちょっとだけ観たんでした。リーゼントじゃない前田太尊を筆頭に誰が何の役かわからない上、まったく面白くなかったので途中でリタイア。
「花ざかりの~」「美男ですね」というリメイク&男装女子ドラマ対決は、どっちもどっちなんじゃないかと。キャストも魅力的とは言えないですし。前作が当たったからってリメイクしても風当たり強いだけでメリットないだろうにねぇ…。

最近はドラマも映画も、原作物・シリーズ物・リメイク物ばかり。一から話を生み出せる脚本家って本当に貴重になってしまいました。ドラマ枠を減らしてもいいから、質の高いものを作ってほしいんだけどなあ。

Trackback [0] | Comment [3] | Category [テレビ] | 2011.07.15(Fri) PageTop

『青空の卵』坂木司

思いやりと自己満足の境界線って難しい。

青空の卵 (創元推理文庫)青空の卵 (創元推理文庫)
(2006/02/23)
坂木 司

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ひきこもり探偵シリーズ三部作の一作目。坂木司さんの代表作ということで読んでみました。ペンネームもこの主人公からとったのですよね。
困っている人を放っておけない性質の坂木と、頭脳明晰で毒舌そして繊細な心を持っている鳥井。彼らが様々な人たちと出会い、少しずつ前進していくお話です。
ジャンルは一応、日常の謎系のミステリなんですが、青春もの(友情もの)と捉えた方がよさそうです。無理のある推理が多いし、謎自体もそれほど興味を惹かれるものではないと思うので。

主人公二人のシーンがどうにも苦手でした。こういうのが好きな人は多いと思うし、あくまで私個人の好みの問題ですけども。
大人になってもいまだに依存し合ってしまっている二人の際どさ、みたいなのを表現したいのだろうと思うのですが、ここまでモラトリアム全開でこられるとなぁ。こんな友情ありえない、とまでは言えないけど、やっぱり相当おかしいですよね。
もちろんわざとそう書いているわけで、塚田と安藤をああいう風に書いたことで予防線は張っていることだし、へんに勘ぐる方が野暮なんだとわかってはいるんですけど。
それでふと思い出したのが『BANANA FISH』。私、あの二人も苦手だったんですよ…。特に英二が。

いきなり批判から入ってしまいましたが、登場人物のキャラクターは悪くないです。
なにより栄三郎さん。彼のおかげで一気に楽しくなりました。滝本&小宮の警官コンビも好きです。鳥井の口の悪さもけっこう好き。坂木がただのお人好しではなく、意外と利己的な一面を見せたりするのも人間くさくていいと思いました。

大人になりきれない葛藤とか、人との繋がりを持つことで得るもの・失うものとか、それこそどういう友情が正しい形なのかとか。答えの出ない問題だとしても、それについて考えることで気づかされることは多いはず。
坂木と鳥井が最終的にどんな関係に落ち着くのか、気になるところです。

Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:さ行] | 2011.07.14(Thu) PageTop


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