[Archive] 2012年11月


『Landreaall』おがきちか

隠れた名作との呼び声が高いランドリオール。玄人受けするのも納得…こんなすごい作品があったとは。

Landreaall 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)Landreaall 9 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)Landreaall 17巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)Landreaall 20巻 (ZERO-SUMコミックス)

舞台となるのは竜やモンスターが存在する世界。かつて火竜を封じた土地につくられた町・エカリープから物語は始まります。
領主の息子DXは、火竜を封じるために歌う樹となってしまった女性マリオンを救うため、妹のイオン、護衛の六甲と共に旅に出ます。《エカリープ編》
故郷を離れ王都のアカデミーに通うことにしたDX達。王位継承候補者であり”革命の英雄”の息子であるDXの存在は、様々な騒動を引き起こすことに…。《アカデミー編》

ファンタジーであり、青春群像劇であり、成長物語であり。色々な要素がつまっているので、とても説明が難しいのですが、あらすじを簡単に説明するとこんな感じです。
大きくエカリープ編(1〜3巻)とアカデミー編(4巻〜)に分かれており、現在も連載中(既刊20巻)。

難易度は少々高めでしょうか。
RPGに出てくるような世界をベースにしたファンタジーなのですが、専門用語(?)も多く、最初は何が何やら。読み進めるとちゃんとわかってくるのですけどね。
設定関連だけでなく、登場人物たちの背景や内面もチラチラと垣間見える程度なので、かなりの読解力が要求されます。
良く言えばわかりやすい、悪く言えば説明過多な作品を読み慣れている人は、ちょっと苦労するかも。かくいう私も初見時はモヤモヤしながら読んでいて、やたらと疲れた記憶があります。
こう書くと小難しい話なのかと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。多彩なキャラとコメディ要素たっぷりで、とても楽しいです!5巻あたりまで読んだら、続きを読まずにはいられなくなるはず。

ランドリオールの最大の魅力は、なんといってもプロットの奥深さ。
冒険ファンタジーなエカリープ編から、学園寮生活モノであるアカデミー編への大胆な方向転換に、まず驚かされました。連載を続けるために無理矢理ひねり出したのかと思えば、実はこっちが本編だったという。
とにかく伏線の張り方が見事で、そうとは気づかないように各エピソードの中にうまーく紛れ込ませているんです。まったく別の話に見えて実は全部繋がっていたり、その他大勢の脇役だと思っていた人が意外な隠し玉を持っていたりして。
伏線というと点と点を配置して線を見せるイメージですが、じわじわ見えてくる感じはあぶり出しに近い気がします。細部まで描かれた完成図が既にあり、読者に見せる部分・見せない部分をコントロールしているだけというような。
読むたびに新たな発見があるので、ついつい何度も読み返してしまいます。私も半年前に初めて読んでから既に3〜4周はしている気が。

エカリープ編ではマリオンを救うという目的に向かって話が収束していきますが、アカデミー編はエピソードの積み重ねを描いていく形。どこまで広がり続けるのか終わりが見えません。
DXが王になるかどうかというのが大きなテーマなのは確かだけれど、それがゴールではない気もするし…。いっそライフワークにしてずっと続けて欲しいです。

一応、少女漫画なのかな?掲載誌のゼロサムってよく知らないのですが、ターゲットは女子中高生だそうなので。でもネット上の感想をみてみると、どうやら大人の男性に高く評価されているみたい。
たしかにアカデミー騎士団での戦略を立てて人を動かして…みたいなところとか、大人がぐっとくる内容です。王の資質云々というのも要はリーダーシップ論ですしね。

絵は、味があって私は嫌いではないですけど、(特に初期は)上手いかというと微妙かも。竜との対決など、動きの激しいシーンは何がどうなっているのかけっこう分かりづらいです…。
それでも巻を重ねるごとに着実に洗練されてきていますし、何を考えているのかさっぱり読めないDXのおかげか(?)微妙な表情の変化でニュアンスを表現するのはとてもお上手。

とにかく読んでおいて損はありません!というかこんな面白いマンガ読まなきゃ損です。
でも未完だし既刊20冊にいきなり手は出しづらい…という方には、同作者の『エビアンワンダー』『エビアンワンダー REACT』(どちらも全2巻。タイトル変わってますが全4巻とみなしてOK)をおすすめしておきます。ランドリとはテーマは違いますが、おがき作品のエッセンスは十分に感じられる良作。フェイ格好いいです。←ヒゲ&額当て萌え

まだまだ語り足りないので(笑)ネタバレ有りの感想はまた後日。。

(2013.3.5追記)
遅くなりましたがネタバレ感想は↓こちらです。
『Landreaall』おがきちか…の続き

Trackback [0] | Comment [0] | Category [マンガ] | 2012.11.27(Tue) PageTop

『スルース』

二人の男のスリリングな会話と意外な展開の連続に引きこまれます。

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マイケル・ケイン、ジュード・ロウ 他

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傑作ミステリー『探偵<スルース>』を『魔笛』のケネス・ブラナーがリメイク。
初老の推理小説作家・アンドリューと若手俳優・マイロが、アンドリューの妻を巡って高貴で不健全なゲームを繰り広げる。マイケル・ケインとジュード・ロウが共演。(「キネマ旬報社」データベースより)


私が観たのは2007年のリメイク版。元はトニー賞を受賞した舞台劇で、1972年に映画化されています。そちらは未見ですが、数年前に劇団四季で上演された舞台は観に行きました。
そもそも舞台版を観ようと思ったきっかけは、三谷幸喜さんでした。三谷作品にはこの『探偵<スルース>』のオマージュがけっこうあるんですよね。舞台『マトリョーシカ』なんてまさにそうですし(こちらも傑作です!)。

年輩の男性の家に、若い男性が訪ねてくるところから物語は始まります。
二人の会話の内容から、年輩の方・アンドリューが著名な推理作家で、非常に傲慢な性格であること、若い方はマイロという失業中の役者で、アンドリューの妻と暮らしていることがわかります。つまり、妻を寝取られた男と寝とった男というわけです。
離婚を迫るマイロに、アンドリューはある提案をし…。

登場人物は基本この二人だけ。アンドリューの家の中だけで終始します。
というと映画向きの作品ではないように思えますが、実際は映像にもかなり凝っていて、単に舞台を映画化しただけという印象は受けません。
極端にアーティスティックな部屋はどうかと思うけれど、何台も設置された監視カメラやリモコンは全てを掌握しておきたいアンドリューの性格をよくあらわしていますし、二人の男の対決を示唆する左右対称の構図はなかなか見ごたえがあります。
もちろん最大の見所は、二転三転する展開と、それに合わせた役者の演技。初っ端の二人の丁々発止のやり取りはなんだか笑えるし、後半ギリギリの精神状態で言い争う二人は見ていて疲れるほど。
振り幅が大きい難役ですが、マイケル・ケインはもちろん、ジュード・ロウもなかなか健闘しています。最後の色気たっぷりの演技はちょっとやり過ぎという気がしないでもないけれど(笑)
最後の最後まで先行きがが読めず、あっという間の90分でした。ただ、結末だけはなんだか唐突な気がしていまいち納得できず。
あと、タイトルのSLEUTH(=探偵)の意味がいまだよくわかりません。誰か教えてください…。

1972年版の映画も是非観てみたいです。マイロ役はなんとマイケル・ケイン。35年後に今度はアンドリュー役をやることになるなんて、想像していなかったでしょうね。

Trackback [0] | Comment [0] | Category [映画] | 2012.11.10(Sat) PageTop


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