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『有頂天家族』森見登美彦

京都には人間と狸と天狗が暮らしている。

有頂天家族有頂天家族
(2007/09/25)
森見 登美彦

商品詳細を見る


再読です。お正月ムードをひきずって、ひたすら楽しい話を読みたくなりました。
以前もちらっとご紹介したことはあるのですが、きちんとした感想はまだ書いていませんでしたので、この機に。

森見作品の魅力は、一風変わった登場人物たちと奇想天外なストーリー、そして独特の言い回しだと思っているのですが、本作品でもそれが遺憾なく発揮されています。
最高傑作『夜は短し~』と同じかその次くらいに大好きなお話です。

舞台はお馴染みの京都。夏から年末にかけての洛中で、主人公・下鴨矢三郎とその家族、隠居した恩師、恩師が恋い焦がれる女性、下鴨家と犬猿の仲である夷川家、などが様々な騒動を繰り広げます。
特筆すべきは、下鴨家や夷川家の面々が狸だということ。そして矢三郎たちの師・通称赤玉先生は如意ヶ嶽薬師坊という天狗であり、赤玉先生が老いらくの恋に身をやつす相手・弁天は人間でありながら赤玉先生の弟子となった半天狗です。
狸たちは普段、人間の姿に化けて何食わぬ顔で街に溶け込んでいるのです。

なんといっても出てくる狸たちの可愛いこと!
実際に中身もかわゆいのは弟の矢四郎(あだ名がまた…笑)だけかもしれませんが、狸の姿をしている時の表現が、とにかく可愛いんです。中盤以降に出てくる長老達なんて、座布団にちょこんと乗っかった毛玉か綿埃かって扱いなんですから(笑)そのシーンだけでかなり癒されました。

亡き父親・下鴨総一郎が狸界の頭領”偽右衛門”を務めた立派な狸だったにもかかわらず、その息子たちは残念な出来なんです。長男は真面目なだけで器が小さく、次男は蛙になって暢気に井戸暮らし。三男は面白いことを追求するばかりの阿呆で、四男はビビリで化けるのが苦手。
でもそんな息子たちを愛してやまない母親がいて、息子たちも母親をとても大切にしています。雷が鳴ると一目散に母親のもとに駆けつける姿は、まさに家族愛。兄弟同士はそこまであからさまな愛情表現をするわけではないけれど、当たり前のように兄は弟を守り、弟は兄を心配します。
家族にかぎらず、矢三郎と赤玉先生の捻くれた師弟愛なんてものも。先刻御承知の応酬はまさにそれ。矢三郎は大人だなぁと思います。
そして、狸と天狗の友情。赤玉先生と総一郎が最後に交わした会話にはじーんとしました。

もちろん感動だけではありません。阿呆なエピソードも盛り沢山です。
その代表格が、矢三郎を目の敵にする夷川兄弟・通称金閣と銀閣。この兄弟がもう本っ当~におバカで。意味もなく四字熟語が好き、とか(笑)樋口一葉と誇大広告には笑いました。
へそ石様のくだりも好きですねぇ。

なんてことのないシーンだけど、銭湯で矢三郎と矢四郎が珈琲牛乳を飲みながら交わす会話がなんか好きです。あと、偽叡電が疾走する様をアニメで見てみたい!ジブリが得意そうな感じですよね。
早く続きが読みたいなぁ~。第二部の連載がしばらく停滞してしまっているようですが、残りは書き下ろしで出すのかな??
続編では海星がいよいよ姿を現すのか気になるところ。海星は素直じゃないところがかわいいです。

京都は知らない土地ではないですが詳しくもないので、時々グーグルマップを眺めたりしながらのんびり読みました。ふと、この本に出てくる場所をマッピングしてる人はいないかな?と検索してみると、いました!
http://blogs.yahoo.co.jp/rtpcrrtpcr/44132967.html
こちらの方が、有頂天家族の地図を作っておられます。すごい!


有頂天家族 (幻冬舎文庫)有頂天家族 (幻冬舎文庫)
(2010/08/05)
森見 登美彦

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すでに文庫化されていました。表紙がカワイイ。

Tag 家族
Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:ま行] | 2011.01.13(Thu) PageTop

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