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『13階段』高野和明

死刑囚の冤罪を晴らすという困難な依頼を受けたのは、元刑務官と前科持ちの青年。処刑までの時間はあと僅か、二人は真実に辿りつけるのか。

13階段 (講談社文庫)13階段 (講談社文庫)
(2004/08/10)
高野 和明

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評判通りの面白さ。久しぶりに先が読めないドキドキ感を味わいました。
タイトルの「13階段」が、処刑場の俗称というだけでなく、様々なところで印象的に使われているのが上手いですね。
これがデビュー作だそうですが、二転三転するストーリーといい、かなりの力作であることは確かです。

死刑囚が主人公なのかと思っていたら、違いました。
刑務官として犯罪者たちと向き合ってきた南郷と、殺人罪で服役したのち仮釈放された三上純一という、正反対とも言える立場の二人を中心に話が進んでいきます。
南郷と純一の、適度に距離を置いてお互いを尊重しあう関係が心地よかったです。

主な謎は4つ。1つめは、死刑囚・樹原は無実なのか。2つめは、冤罪だとすると真犯人は誰か。3つめは、樹原を救いたいという依頼人は誰か。4つめは、純一の過去の家出事件で何があったのか。
南郷たちは2つめの謎を解明すべく調査をするわけです。ちょっと冤罪だって決め付けるのが早過ぎるのでは?とは思いましたが、依頼の趣旨からして、そこがブレると何もできなくなるからかなと納得しました。
これ以上の感想は・・・どう書いてもネタバレになっちゃいそうなので、追記に。

映画は未見です。
私が読んだのは文庫本の方で、解説が宮部みゆきだったんですが、そこで「映画化された『13階段』を高野さんは気に入ってなかった」とかなんとかぶっちゃけちゃってるのが、いろんな意味でドキドキしました…。映画化で散々痛い目を見ているはずの宮部さんが書いてるっていうのがまた(苦笑)

決して明るい話ではないですが、ところどころでクスっと笑えるようなくだりがあったりして、重いながらも読みやすかったです。
特に南郷兄弟のエピソードはお気に入り。お兄さんの飄々とした態度とセリフはよかったなぁ。
全員にとって大団円というわけにはいきませんでしたが、そこもまた現実の厳しさを象徴していて、なかなかの終わり方だったと思います。

※ここから先はネタバレです。

最初の方でまず思ったのが、純一の事件の賠償金額がちょっと高すぎないか?ってことです。状況を見れば佐村の自業自得って感じだし、事故もしくは正当防衛と言ってもよさそうなものなのに。ある意味この金額自体が伏線ではあるのですが…。
それに、逮捕されたという事実だけを知った周囲の人たちが三上家を白い目で見るのはまだわかるとしても、事件の内容を知った上でマスコミが純一を悪者として扱うっていうのも、なんか違和感。むしろ不幸な事故として捉えそうな気がします。
他にも、夏休み中の彼女とのプチ家出を非行とみなすのもどうなのか、とか。
純一の事件に関しては、裏事情の有り無しとは別に、モヤモヤしたものが残りました。実際はそういうものなんでしょうかねぇ。

それから、宇津木と佐村の関係も気になります。結局なんでもなかったんでしょうか。
いくらなんでも偶然が重なりすぎじゃないか、なんて興醒めするようなことを言うつもりはないんですが、住所録の中に彼らの名前があったことにもう少しつっこんで欲しかったかな。いくら教え子でも校長が一生徒の連絡先を書き留めてるって、なんか変じゃないですかね。
彼も保護観察者だった?というミスディレクションのためなんでしょうか。よくわかりません。

上で挙げた3つめの謎・依頼人に関しては、それほど重要ではないようにサラッと流しているのがうまいなぁと思いました。気にはしながらも突き詰めて考えたりはしない南郷の行動は、ごく自然に見えます。
報酬の出所にはなんとなく予想はついていたものの、目的までは予想できなかったです。
私は最初、死んだ佐村が犯人で、父親が良心の呵責に苦しんで真実を明かそうとしているのか、もしくは2年前の事件で息子にも非があったと認めて、陰ながら純一を助けようとしているのかなと思ったんです。でも調査から外そうとしたことでわからなくなって…。
結局、報酬や賠償金はどうなるんでしょうかね。

南郷の半生を詳細に語る一方、純一の方はほとんど明かされなかったというのも、最後に純一に疑いを持たせるための伏線だったわけですが、心理描写では最初から嘘はついてはいないんですよね。佐村に対する改悛の情は全くないであるとか。
でもそれは2年前の事件だけをみても納得できる感情だったので、すっかり騙されました。

高野さんの文章は、心理描写をみっちり書きこんだかと思えば、さくっと簡単な説明で流したり、コントラストがはっきりしていますね。南郷の過去編には一章まるまる使っておいて、純一の過去はあっさり手紙で済ませてしまうなんていうのもそうですし。
そのあたりの匙加減がうまい人だなと思いました。他の作品もぜひ読んでみたいです。

Trackback [0] | Comment [0] | Category [作家別:た行] | 2011.07.29(Fri) PageTop

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